「プリズナートレーニング」とは、監獄という過酷な環境の中で語り継がれてきた伝統的な自重トレーニングの一種です。
今回は実際にプリズナートレーニングを実践している自分が、トレーニングの基礎知識・誕生の歴史・取り組むメリットなどをできるだけ分かりやすく解説していきます。
デンジ
今回紹介する内容の詳しい解説
この記事の内容
プリズナートレーニングとは
プリズナートレーニングは、屈強な犯罪者たちが巣食う刑務所の中で誕生した独自の自重トレーニング。弱肉強食の世界で、いち早く強靭な肉体を作り上げるために編み出されたメゾットです。
一応説明しておきますが、自重トレーニングとは、自分の身体のみを使って行うトレーニング(腕立て・腹筋など)のことです。
囚人は刑務所内と独房でしか行動できないため、ダンベル・バーベル・マシン・プロテインなど、現代で身体作りに使われる装備は一切手に入りません。
そのため、トレーニングの難易度や負荷の調節は、全て自分の身体一つで対応することになります。
デンジ
ポール・ウェイドさん
現代のフィットネス業界を猛烈に批判
プリズナートレーニングでは、現代のフィットネス業界に広がる拝金主義の商品・サービスを、「あんなものは全部クソだ」…と一刀両断しているのが特徴です。
モノと情報が溢れる大量消費の時代では・・・
- 広告などによる過剰な押し売り
- 怪しい筋トレグッズ・サプリの数々
- ほとんど効果のないダイエット手法
など、さまざまな嘘や洗脳が蔓延しているのも事実。
その背景にあるのは、もちろんお金です。
美しくたくましい身体を作り上げるには、「大掛かりなマシン」「最新科学のサプリメント」「高価なトレーニンググッズ」…などがぜーんぶ必要だ!…と日々刷り込まれ続けるのが、今のフィットネス業界なのです。
デンジ
そんなおもちゃとはお別れして、今こそ伝統的な自重トレーニングを再興しようぜ
ってのが、著者ポールウェイドさんが一番伝えたかったことなのかなと思います。
本書ではジムトレーニングへの批判、自重トレへの賞賛的な内容が多いのですが、主張を強めるために(エンタメ的に)ワザとやってる感もあるので、どちらも話半分に理解しておくのがベスト。「自重トレ」と「ジムトレ」、双方にメリット・デメリットがあると認識するのが健全な受け止め方です。
「伝統的な自重トレ」と「現代の自重トレ」
フィットネス業界の食い物にされ、現代ではほぼ絶滅してしまった伝統的な自重トレーニングだが、唯一生き残った場所があった。それが、外の世界と隔離され、弱者は一瞬で蹂躙される過酷な環境「監獄」だ。
…みたいな感じで、ストーリーっぽく進んでいきます。
プリズナートレーニングで行う伝統的な自重トレと、現代で主流のカジュアルな自重トレは、大きく性質が異なります。
- 伝統的な自重トレ…自分の体重一つで極限まで身体を追い込むことに特化したトレーニング。シンプルかつ強力な負荷を掛けることができる。
- 現代的な自重トレ…ジムトレーニングのサポート的な位置づけで、基本的に下位互換。エクササイズ色が強く、有酸素系・体幹系の種目が多い。
プリズナートレーニングが目指すもの
プリズナートレーニングが目指す最終目的地は…
「伝統的な自重トレーニングで身体を極限まで鍛え上げて、自分の身体を自由自在にコントロールすること」
と理解しましょう。
プリズナートレーニングでは、柔軟性・俊敏性・連動性などを意識したトレーニングメニューが多く組み込まれています。
現代のジムトレーニングとは異なり、自分の体を持ち上げる・操る動作を重視しています。
ざっくりイメージ
- 現代のジムトレーニング…重いものを押したり引いたりするパワー重視の筋肉
- プリズナートレーニング…自分の身体を自由自在に操るスピード重視の筋肉
デンジ
プリズナートレーニングが向いている人
- 自重トレーニングを極めたい
- 細マッチョ体型を目指している
- アクロバット系の競技に興味がある
- ジムに通うのが苦手
…といった人たちには向いています。
「無」から生まれた筋トレメゾットなので、時間とお金をかけたくないミニマリスト向けのトレーニングであることは確かです。
反対に、ジムに通って徹底的にボディメイクしたい人には向きません。
デンジ
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プリズナートレーニングのメリットとは
ここからは、プリズナートレーニングを実践するメリットを紹介します。
従来のジムトレーニングと比べて優れているポイントを5つに絞って解説します。
お金がかからない
ジムの会費や筋トレグッズを揃える必要がないので、お金がほとんどかかりません。身体一つで全てをまかなえる大変コスパの良いトレーニングです。
一部トレーニングではぶら下がる場所やスペースが必要になりますが、ほとんどが身の回りの物で代用可能。
外に出るにしても、必要なのは運動用ウェアと靴くらいです。
デンジ
場所を選ばずに鍛えられる
室内で完結するメニューが多いので、いつでも・どこでも・すぐに身体を鍛えることができます。
1.5畳くらいスペースでほとんどのメニューをこなせるので、いかなる状況においてもコンパクトに身体を鍛えることができます。
設備や器具も必要ないので、「◯◯がないからトレーニングできない…」みたいな状況にもなりにくいです。
関節に優しいトレーニング
トレーニングでは自分の体重しか使わないため、安全性が非常に高いのも特徴です。怪我のリスクを最小限に抑え、関節を保護しつつ筋肉を鍛えることができます。
バーベルをはじめとしたウェイトリフティングの弱点は、手首・肩・肘・膝の関節を痛めやすいことです。
デンジ
プリズナートレーニングでは、かなり弱めの負荷から段階的にレベルを上げていくので、関節と筋肉を同時に鍛えることが可能です。
連動的な動きを習得できる
筋肉だけでなく、その周りにある腱・関節・神経系を同時に鍛えられるメニューが充実しています。マシン・バーベルと比べて筋肉の可動域が大きいので、多くの筋繊維に刺激を与えることができるのです。
プリズナートレーニングの「ビッグ6」は、同時に数多くの筋肉を動かすメニューが豊富に揃っています(例:ブリッジなどは100個以上の筋肉が動く)
デンジ
細マッチョ体型になる
プリズナートレーニングを続けていると、自然と細マッチョ体型に近づきます。これはトレーニングを続けたことによる筋力増加・脂肪減少の効果が一番なのですが、意識改革の部分もかなり大きいです。
どういうことかと言うと…
デンジ
プリズナートレーニングの「BIG6」
この章からは、プリズナートレーニングの「BIG6」について詳しく解説します。
「BIG6」とは、プリズナートレーニングを構成する6つのトレーニングの総称。鍛錬しながら徐々にレベルを上げ、最高難易度のステップをクリアすることが目的となります。
- プッシュアップ|腕立て伏せ
- スクワット|屈伸運動
- プルアップ|懸垂
- レッグレイズ|足上げ腹筋
- ブリッジ|背骨反り運動
- ハンドスタンド・プッシュアップ|逆立ち腕立て伏せ
※一応日本語名も後ろに付けてみました
10段階ステップ
「BIG6」の各メニューには、10段階のステップが設定されています。
「プッシュアップ(腕立て伏せ)」を例にとってみると、下記のようになります。
各ステップのフォーム・回数・コツなどは、本書で詳しく解説されています。
デンジ
初級・中級・上級3つの指標
次のステップに進むためには、何を基準にトレーニングすればいいの?
こんな疑問を持つ人もいるでしょう。
各ステップのメニューには、それぞれ「初心者」「中級者」「上級者」の3つの指標が設定されています。
例えば、ステップ5の「フル・プッシュアップ」の指標はこんな感じ。
- 初心者の標準…5回×1セット
- 中級者の標準…10回×2セット
- 上級者の標準…20回×2セット
回数・セット数を徐々に増やしていき、上級者の標準をクリアできるまで鍛え続けるのがコツ。
デンジ
着実に習得することが大切
プリズナートレーニングでよくある失敗談が、高難度のメニューから始めてすぐに挫折してしまうというパターン。
ほとんどの人が本を読み終わったときに、早くレベルの高いトレーニングをしたいという欲求に駆られますが、ここはグッと我慢。焦って関節を痛めたり、キツすぎて挫折してしまっては本末転倒です。
どんなポテンシャルの人でも、最初のステップからゆっくり始めるのが正しいやり方。
「完璧なフォーム」で、「楽々こなせるレベル」に上達するまでは、決して次のステップに進んではいけないのです。
デンジ
プリズナートレーニングで身体を鍛え抜こう
今回はプリズナートレーニングの特徴・魅力について徹底解説しました。
シンプルかつお金のかからない自重トレーニングをしたい人にはぴったりの一冊です。
デンジ
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